小児整形外科

小児整形外科pediatric orthopedics

「子どもはよく転びやすい」と昔から言われていますが、頻繁に転んだり、なかなか泣き止まなかったりすると、「本当に大丈夫なのか?」「病院に行った方が良いのか?」と不安になりますよね。また、怪我以外でも、お子さんの首や手足の形、歩き方、姿勢で心配なことはありませんか?

そんなときは、子どもを専門とする整形外科「小児整形外科」がある当院へお気軽にご相談ください。

お子さんにこんな症状・様子はありませんか?

乳児期(0歳~1歳)

  • 乳児検診で「股関節の動きが悪い」などの指摘を受けた
  • お座り・ハイハイが遅い

幼児期(1歳~未就学児)

  • O脚やX脚が気になる
  • 偏平足
  • 歩行の遅れや歩き方が気になる
  • よく転ぶ
  • 夜になると、足の痛みを訴えるが、翌朝にはケロッとして元気に走り回れる
  • 姿勢が悪い・身体が硬い
  • 腕を動かさない、腕を動かすと痛がる
  • 足や股関節に痛みがある

学童期(小学生~)

  • 「背骨が曲がっている」もしくは学校検診で「側弯症」と指摘を受けた
  • スポーツ中の怪我や、スポーツをすると痛みなどの症状が現れる
  • 夜になると、足の痛みを訴えるが、翌朝にはケロッとして元気に走り回れる
  • 足や股関節に痛みがある
  • 身体が硬い

小児整形外科とは?

整形外科では、脊椎・脊髄や手足の骨・関節・筋肉・じん帯など運動器に関する病気・怪我の診療を行っていますが、特にお子さんを専門としているのが「小児整形外科」です。
子どもの身体は、大人の身体を単に小さくしたものではありません。
子どもの身体は成長の著しい発育過程にあるため、大人では問題となるような疾患でも、子どもならば成長に伴って自然治癒するケースが少なくありません。逆に、子どもでは徐々に悪化するケースも存在します。
そのため、身体の成長過程をしっかりと踏まえ、総合的な診断・治療が必要となります。

当院の「小児整形外科」での基本方針

  • 01

    どんな些細なお悩みもご相談に乗ります

    「小さな痛み・わずかな違和感だから大丈夫」と思っていても、稀に重篤な疾患の前兆・初期症状な場合があります。 怪我はもちろん、「スポーツをするときだけ症状が出る」「夜になると痛むが翌朝にはケロッと治っている」といった様子が見られる、「歩き方がおかしい」など親御さんから見て気になる点があるときは、どんな些細なことでも当院までお気軽にご相談ください。

  • 02

    お子さんを丁寧に診察させていただきます

    「痛い」と訴えている部位以外に、根本的な原因が隠れている可能性もあります。 特に小さなお子さんでは、痛み・違和感などの症状をうまく訴えることができず、「泣く」「しきりに触る」といった行為で症状を表現する場合があります。 当院では、痛みがある部位以外も丁寧に診察して、治療にあたります。

  • 03

    親御さんが安心できる診療・治療を心がけます。

    「子どもに小さな怪我は付きもの」と思っていても、ひとたびお子さんが怪我すれば、心配ですよね。また、乳児健診で運動器の異常を指摘されたり、ほかの子と比べてお座り・ハイハイ・歩き始めなどが遅かったりすると、不安が募るときもあるでしょう。 当院では、親御さんが気になることに対し、医学的見解を分かりやすく説明し、安心していただけるよう心がけています。また、治療の必要があれば、後遺症が残らないよう配慮しながら治療を進めていきます。

小児整形外科で取り扱う代表的な疾患

先天性股関節脱臼(発育性股関節形成不全)

大腿骨(太ももの骨)が骨盤から外れている状態です(=脱臼:だっきゅう)。

「先天性」とありますが、出生時に脱臼しているケースは少なく、出生後の脱臼が多くみられることから、近年では「発育性股関節形成不全」と呼ばれます。

股関節は身体全体を支え、歩く・走るといった基本的動作において重要な関節なので、股関節脱臼はしっかり治さないと、将来的に痛みの出現や歩行困難になる原因に繋がり、さらに外科的手術が必要になる可能性もあります。

おむつ替えなどの際に親御さんが気づくケースもありますが、乳児健診において「股関節の開き具合が硬い」と指摘されて 気づくことが少なくありません。

発症頻度

約1,000人に1~2人の割合で発症し、女児は男児の7~8倍多くみられます。

原因

脱臼しやすい要素があるお子さんが、おむつ替え・スリングなどで足を無理に伸ばした状態で固定されることによって起こると考えられています。

また、子宮内で膝を伸ばした姿勢(単殿位)で生まれてきた場合や、母親・祖母に股関節脱臼の既往症があるお子さんに発症しやすい傾向があります。

症状

主な症状は、股の開きが悪い「開排制限」です。「足を伸ばしたときに太もものしわの数が左右で異なる」「両膝を立てると、膝の高さが違う」「両足を持ち上げると、脱臼側のお尻が膨らんでいる」といった症状がみられます。歩き始めている場合、足の引きずり(跛行:はこう)によって気づくことがあります。

診断

視診・触診などの診察のほか、X線検査(レントゲン)・超音波検査(エコー検査)で確定診断を行います。

治療法

完全な脱臼、外れかかっている脱臼(亜脱臼)では、生後3~4か月頃より専用バンド(リーメンビューゲル)を使って治療します。装具療法で脱臼が戻らない場合には、入院して牽引療法や手術による整復(脱臼した骨を元に戻すこと)を行います。

ペルテス病

大腿骨の骨頭(脚の付け根側の骨)が一時的に壊死(組織・細胞が死ぬこと)を起こす病気です。

発症頻度

3歳~6歳頃の男児の発症が多いです。片側での発症がほとんどですが、両側で発症するケースもあります。

原因

股関節の血行障害によって、大腿骨骨頭の壊死が一時的に引き起こされていますが、血行障害の根本原因は今のところ分かっていません。ただし、喫煙世帯に多くみられることから、受動喫煙との関連性が指摘されています。

症状

股関節に痛みが現れるため、足を引きずるような歩き方がみられます。進行すると、股関節が動かしにくくなります(可動域制限)。

診断

X線検査での発病初期での発見は難しく、発症から1か月ほど経過すると、大腿骨骨頭が潰れていることを確認できます。そのため、ペルテス病の疑いがあれば、早期診断のために「MRI検査」をおすすめしています。

治療法

壊死部分は1年半~2年程度で自然回復します。しかし、股関節は重要な関節なので、できる限り骨頭を潰さずに治すことが望まれ、さらに骨頭の求心性(末端から中央にかけて感覚が伝わること)を保つために、発症早期からの外転免荷装具を用いた装具療法が重要となります。運動機能障害がある場合は、牽引治療や手術が必要となる可能性があります。

単純性股関節炎

外傷(怪我)をしたなどの理由がないのに、股関節の強い痛みが突然現れて歩けなくなる病気です。

発症頻度

4歳~6歳頃の男児に多く発症します。お子さんに股関節痛が現れる疾患の中で最も頻度が高いとされます。

原因

はっきりした原因は分かっていませんが、風邪を引いた1~2週間後に発症するケースが多いことから、ウイルス感染の関連が指摘されています。

症状

急に股関節が痛くなります。痛みで歩けなくなったり、足を引きずって歩いたりするようになります。小さいお子さんでは、膝の痛みを訴えることがあります。

診断

お子さんで股関節痛が現れる疾患には、ペルテス病のほかにも後遺症を起こす可能性のある疾患(化膿性股関節炎・大腿骨頭すべり症など)も存在するあるため、他の疾患としっかり鑑別することが重要となります。関節の可動域(動く範囲)など臨床所見により診断は可能ですが、他の疾患との鑑別のため、X線検査・血液検査・MRI検査を行います。

特に、関節の中に膿が溜まる「化膿性股関節炎」は放置すると、重篤な後遺障害を残すことがあるため、疑わしいときには関節液を採取して調べます。

治療法

安静により、約2~3週間で自然治癒が期待できます。その間は、登園・通学・スポーツ活動などは控えて、休ませることが望まれます。

環軸関節回旋位固定(かんじくかんせつかいせんいこてい)

急に首に痛みが現れ、片方に傾いたまま、まっすぐにできず、元に戻せない状態となる病気です。通常、傾いた方向とは逆の方向に顔が向きます。風邪を引いた後や、急に振り向いたり頭をぶつけたりした後、マット運動中など首を動かしている間に発症することがあります。

発症頻度

12歳以下のお子さんにみられ、平均値は5歳~6歳です。

原因

第1頚椎(頭蓋骨の真下)が第2頚椎(第一頚椎の下)に対して、回旋した(回した)位置から戻らなくなることです。子どもの第2頚椎は、第1頚椎を乗せている部分の傾斜が強く、丸みを帯びており、不安定になりやすいことから、子どものみに起こると考えられています。

(図)頸椎の構造
症状

首を動かすと強い痛みがあります。首が傾いて、首とは反対の方向に顔が向いた状態で、首が動かせなくなります(cock-robin姿位:こまどり症候)。

診断

問診やX線検査から診断は可能ですが、確定診断にはCT検査が必要です。

治療法

軽症であれば、約2日~3日で自然治癒します。1週間~2週間以上経っても、症状が改善しないときには、入院して首を牽引する治療を約3週間行います。難治性の場合には、ハローベスト(頸椎を固定するため、頭部と胸部をポールでつなぐ装置を付けたベスト)による固定を行う可能性があります。

先天性内反足

先天性(生まれつき)の疾患で、足が内側にねじれ、足の裏全体が内側に向いている状態です。出生後すぐに分かる疾患のため、産科医から整形外科医に紹介されることが多い病気です。治療しないと普通に歩くのは困難となり、変形が高度な場合では足の甲で歩くことになります。

発症頻度

約1,000人に1人の割合で発生し、男児に多くみられます。

約半数は両足に現れ、片足では右足の発症率が、左足のみの場合と比べ約2倍とされています。

原因

体内での発育異常・圧迫、全身的な疾患の影響などと考えられていますが、今のところ、はっきりした原因は分かっていません。

症状

かかとが内側に傾く「内反」、足の前半分が内側に曲がる「内転」、足先が下がっている「尖足」があります。

診断

視診・触診で比較的容易に診断は可能ですが、X線検査や超音波検査で確定診断を行います。先天性内反足は「正常な足の位置に矯正が難しい」「関節の動きが不十分で硬い場合」に診断されます。

治療法

先天性内反足では、生後できるだけ早期から治療を行い、根気よく長期に渡り続けることが大切です。当院では、米国アイオワ大学のPonseti先生により開発されたPonseti法(ポンセッティ法)による、外科的手術を行わずに足を優しく正しい位置に矯正するギプス治療を行っています。医師が足の形を徒手で矯正した後、ギプス固定を週1回程度の間隔で巻き替える方法を約2~3か月間続けることで、少しずつ靭帯がリラックスした状態となり、正しい位置での骨の成長が促されます。矯正がある程度進むと、次に両足を固定する装具(Foot abduction brase)を装着します。つま先が外を向いた状態となった時点で、約8~9割のお子さんが局所麻酔を用いて「アキレス腱皮下切腱術」を行います。この手術によって、アキレス腱が切離されるため、つま先を上げた状態にできます。ただし、成長期の間は再発しやすい傾向があるため、その後も長期に渡ってギプス固定や装具療法を継続して、変形防止に努めます。なお、再発した場合は、矯正ギプス治療・アキレス腱皮下切腱・腱移行などの手術を行うことがあります。

オスグッド病

膝関節を屈伸する動作を過剰に行うことにより、脛骨結節(けいこつけっせつ:膝のお皿の下の骨)の剥離が起こり、膝に痛みが現れる病気です。スポーツを活動的に行っている成長期(10歳~15歳頃)のお子さんに多くみられる「スポーツ障害」のひとつです。成長期に伴う一過性の病気なので、成長期が終われば治癒するケースがほとんどですが、痛みのある間はスポーツを休むことが大切です。

成長痛

成長期(幼児期~思春期)の子どもの足(下肢)にみられる痛みのことで、検査では明らかな異常が認められませんが、不定期に足などが一時的に痛みます。遊んでいるとき、幼稚園・保育園などに行っているときは痛みが現れにくい、夕方~朝方にかけて自宅にいるときに痛みが現れやすいという特徴があります。

発症頻度

3歳頃の幼児期~12歳頃までの学童期に多くみられます。世界的にみた有病率は、約10%~20%で、オーストラリアで行われた調査では4歳~6歳の子どもの約37%に認められたと報告されています。

原因

痛みが骨の成長に伴って起こっている医学的根拠はなく、原因ははっきり分かっていません。しかし、成長に伴って生じる心のストレス(幼稚園など集団生活が始まった、食事・お風呂・歯磨きなどしなければならない、友人関係、習い事など)が、発症に関連していると考えられています。

症状

痛みは主に下肢(足)に現れます。膝の痛みを訴えるケースが多く、足のだるさ・不快感となることもあります。また、痛む場所はその都度異なり、痛みを感じる期間も数か月~年単位と定まっていません。

診断

臨床症状および「検査で明らかな原因がないと認められる」といった特徴的な所見から、総合的に判断しています。

治療法

消炎鎮痛剤の内服や理学療法などの治療は必要ありません。痛みがあるときは「患部を優しくさする」「患部を温める」「湿布を貼る」「足のストレッチ運動を行う」「親子のスキンシップを図る」「よく睡眠を取る」などで様子を見ます。

しかし、お子さんの「痛みがある」という訴えを尊重することは大切です。お子さんのストレスが軽減するような生活を心がけましょう。